継続保有期間1年以上の400株以上保有する株主に対して、クオカード2,000円相当が贈られます。なお、2026年6月末を最後に株主優待が廃止される予定です。
保有株式数 | 優待内容 |
400株以上 | クオカード2000円相当 |
◆贈呈時期
9月中旬に定時株主総会招集ご通知と同封し発送を予定
◆継続保有の条件
株主優待の対象となる株主様は、基準日時点において200株以上を1年以上保有する株主様で、継続保有期間中のいずれの時点においても、同一株主番号で最小株式数(200株)を下回ることなく保有していることが当社株主名簿により確認できる株主様とします。
継続保有期間とは、株式を取得したことが株主名簿に記載または記録された日から各基準日(毎年6月30日)まで株式を同一株主番号により継続して保有した期間をいいます。なお、継続保有期間1年以上は、毎年12月31日および6月30日時点において当社株主名簿に、同一株主番号で継続して3回以上記載または記録された株主様とします。
2025年8月27日
会社名 株式会社エンビプロ・ホールディングス
代表者名 代表取締役社長 佐野富和
(コード番号:5698 東証プライム)
問合せ先 取締役 管理管掌 竹川直希
(TEL. 0544-21-3160)
株式会社エンビプロ・ホールディングス
2025年6月期決算説明会(書き起こし)
2025年8月22日
イベント概要
[企業名] 株式会社エンビプロ・ホールディングス
[企業ID] 5698
[イベント言語] JPN
[イベント種類] 決算説明会
[イベント名] 2025年6月期決算説明会
[決算期] 2025年6月期 通期
[日程] 2025年8月22日
[ページ数] 31
[時間] 13:30 – 14:21
(合計:51分、登壇:37分、質疑応答:14分)
[開催場所] インターネット配信
[会場面積]
[出席人数]
[登壇者] 3名
代表取締役社長 佐野 富和(以下、佐野富和)
取締役副社長 佐野 文勝(以下、佐野文勝)
経営管理部長 斉藤 禎陽(以下、斉藤)
登壇
斉藤:皆様、本日はお忙しい中、株式会社エンビプロ・ホールディングス、2025年6月期決算説
明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。本日の進行は、経営管理部の斉藤が務めさせ
ていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
今回の説明会は、Zoomによるライブ配信形式のWeb決算説明会とさせていただきました。決算
説明会の終了は14時30分頃を予定しております。なお、本日の説明資料は、8月20日に当社ホ
ームページに掲載させていただいておりますので、適宜ご利用くださいますようお願いいたしま
す。
それでははじめに、本日の登壇者を紹介いたします。代表取締役社長、佐野富和。
佐野富和:佐野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
斉藤:取締役副社長、佐野文勝。
佐野文勝:佐野文勝でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
斉藤:以上、2名でございます。本日は、代表取締役社長、佐野富和より、ご挨拶ならびに2025
年6月期決算に関してお話しさせていただき、取締役副社長、佐野文勝より、ご挨拶ならびに
2026年6月期の見通し、今後の経営体制および経営方針に関してお話しさせていただきます。ご
説明終了後、質疑応答を行います。質問内容は、他の参加者には非公開に設定されており、運営に
て代読させていただきます。
それでは、代表取締役社長、佐野富和よりお話しさせていただきます。お願いいたします。
佐野富和:あらためまして、佐野でございます。本日は大変お忙しいところお集まりいただきまし
て、誠にありがとうございます。それでは早速でございますが、私から、1の2025年6月期決算
概要と、2のスタンダード市場区分変更申請および代表取締役交代について説明をいたします。な
お、ここからは2025年6月期を前期、現在の進行期を今期と表現させていただきます。
まずは、前期の決算概要でございます。ご覧のように大幅な減収減益でした。ただし当期純利益は
昨年6月、日東化工の火災による保険金の支払があったので、11億7,500万円になりました。ま
た、特別損失があった昨年の純利益が5億3,700万円だったので、前年比で118.7%増の表示にな
っております。
前期は、第1四半期で経常利益はかろうじて4,100万円の黒字でしたが、営業利益は1億3,300万
円の赤字となり、スタートで大きく出遅れました。第2四半期以降、業績は回復基調にありなが
ら、最後までその遅れを取り戻すことができなかった1年でありました。
なお、減収の主な要因ですが、資源循環事業で扱い量を1万2,000t減らしたことと、グループ全
体の売上の半分を占める鉄スクラップの相場が平均で昨年比8,000円ほど下落したことが挙げれま
す。
それに加えまして、これは会計基準の変更によるものでございますが、グローバルトレーディング
事業で大手電炉メーカーとの安定した販売体制構築による取引形態の変更により、一部出口が限定
されたことに伴い収益認識基準の適用を受けることになり、売買差益のみ取り込むことになったこ
とによる影響もあります。
これらを含め前期を総括すると、グループ挙げて事業モデルの転換に取り組んだ年だったと言える
と思います。そして、全てのセグメントで少しずつですが事業モデルの転換が進み、この3年間下
がり続けた業績も総じて底を打ったんじゃないかなという感じを私は持っております。この辺り
は、後ほどのセグメント別の業績概要のときに説明を申し上げたいと思います。
なお、これからは意図して上げていく人件費を中心に、固定費の急激な増加以上に稼ぎ出す事業モ
デルに仕上げていけるかどうかが私たちの勝負になると思っております。
これは段階利益でございますが、縷々申し上げましたけれども、この一番下の固定費の増加、3億
6,600万円増加しているということが特筆すべきことかなと思います。
次をお願いします。差異分析ですけれども、この2億1,600万円の人件費の上昇、これは意図する
ものでもあります。それから、設備費の上昇、それから経費の上昇、これを合わせて3億6,600万
円になりますが、それらの増加を賄うだけの利益を、粗利で稼ぐことができなかったということで
12億1,600万円の経常利益になりました。
続いて、セグメント別の業績概要でございます。まず、稼ぎ頭の資源循環事業セグメントの金属資
源循環部門も、グループ内の3社が統合して意図してシナジーを生み出す努力を続けた日々でござ
いました。
また、利益創出源が今までと少しずつ変化してきているような気がいたします。ここはもともと持
っている破砕選別技術を活かしながら、独自性を発揮できる分野の強化により、来たるべきサーキ
ュラーエコノミーの流れに乗って稼ぐ力をつけ、稼ぐ体制をつくってきた1年間だったと思いま
す。今期はそれをさらに強化しながらも、統合効果が一段と出るとともに、前期に種まきしたもの
の一部でその成果が表面化するものと思っております。
同じく資源循環事業セグメントのポリマー資源循環部門も、前橋にある旧東洋ゴムチップと一昨年
TOBした日東化工が統合して、新たに日東化工としてスタートをいたしました。現在、私たちは
日東化工湘南、日東化工前橋と通称名で呼んでいますが、日東化工前橋が前期過去最高益だったの
に対して、日東化工湘南はTOB前に私たちが予想していた以上に事業モデルが毀損しておりまし
て、赤字体質からどうやって抜け出すか、抜本的な事業改革に終始した1年であったと言えると思
います。
現在も、社長はじめ社員の皆さんが必死で改革を進行中でございますが、幸いお客様のご理解も得
て、少しずつ先に明るさが垣間見え始めております。今期はさらに改革を進展させ、まずは赤字体
質から脱却して、地道に足元の利益を確保しながら、近い将来、新生日東化工として、ゴム製品の
製造はもとよりのこと、ゴムを中心に、ポリマーのマテリアルリサイクルで揺るぎない立場を確保
し、新たなマネタイズポイントを見いだしていけると思っております。
次に、グローバルトレーディング事業セグメントですが、物流サービス事業は引き続き堅調に推移
いたしました一方、トレーディング事業はこれまで3年間続けてきた事業モデルの転換スピードが
遅く、前期も通期で赤字となりました。
ただし、下期だけ見ると黒字化し、事業モデルの転換は確実に進みつつあります。まだ力強さが足
りないですが、今後転換は一段と進んで、今期はその成果が見られるものと確信しております。
リチウムイオン電池リサイクル事業ですが、前期はここが唯一増収増益でございました。また、茨
城工場も垂直立上げすると、力強い流れの中にあります。電池の主な原料であるニッケル、コバル
ト、リチウム相場は低迷しましたが、加工受託により新たな分野での収益も確保しながら、扱い量
も20%以上増やしており、失敗も含めて組織として多くの知見を積み上げ、社員の成長や、日々
増え続けている取引先との関係性もあり、事業自体のポテンシャルは財務の結果以上に高まってい
ると思います。
ただし、既に皆さん新聞等でご案内かと思いますが、足元ではEV化が足踏みをしております。そ
れに伴い電池の生産量も減少の見込みなので、一時的な逆風の中でいかに事業を推進していくか。
今期は以前に比べて一段と厳しい経営になると思っております。そんな中、短期的な変動とは一定
の間合いを取り取りながら賢く対応していって、長期目線で戦略的に判断して、むしろ積極的に取
り組んでいく所存でございます。
その他事業において、環境経営コンサルティング事業ではCDPと脱炭素系のコンサルに加えて、
サーキュラーエコノミーのコンサルが増えつつあります。中にはBPO、すなわちビジネスプロセ
スアウトソーシングでございますが、お客様の環境に関する業務の請負も始まっております。その
延長線上には当社グループが持つサーキュラーエコノミーの機能を提供することで、お客様のお役
にも立ち、当社グループにとっても事業機会を得る等、他社にないマーケティング機能として時間
とともにグループ全体の事業展開の大きな力になっていくと思っております。
とりわけ、来年4月に施行予定の改正資源有効利用促進法や、大企業に限りますけれども温室効果
ガスの排出権取引の義務化は、サーキュラーエコノミーの流れに勢いをつけることになり、当社に
とってビジネス上の大きなチャンスが増えてくると思っております。
これは四半期の比較です。先ほど来から申し上げているように、第1四半期のへこみが分かると思
います。
これはバランスシートですが、ここは自社株買いをやりました。ここに7億8,800万円と書いてあ
りますけれども都合、今期も合わせて9億6,000万円ほどの自社株買いをやっております。
キャッシュ・フロー計算書でございます。ここはお時間のあるときにご覧ください。
続いて、東証スタンダード市場への移行と社長交代についてご説明申し上げます。まずは、東証ス
タンダード市場区分変更申請についてですが、当社は2022年6月期の経常利益は42億円ぐらい
出たんですね。ただ、それをピークに、その後は下がり続けまして、昨年度、前期は約12億円と
いう大変厳しい結果になってしまいました。
この間、時価総額は2021年10月の約380億円をピークに、直近では約150億円と大幅に下がっ
ています。その状況から、短期間では流通株式総額100億円以上というプライム市場の要件を満
たすことができないという判断に至りまして、2025年6月27日付でスタンダード市場への区分
変更申請を実施いたしました。
この際、当社はスタンダード市場への移行を将来の飛躍に向けて、強固な基盤を再構築するための
戦略的な選択と位置付けまして、しっかり腰を据えて地力を蓄え、事業ポートフォリオを転換して
収益力を付けるとともに、新たな成長戦略を推進して、持続的に企業価値を高めていく所存でござ
います。
続きまして、社長交代についてでございます。当社で、私に代わりまして、私の9歳違いの弟にな
りますが、佐野文勝が代表取締役に就任する予定でございます。代表取締役交代の主な理由は、世
代交代により新たな視点で経営をしていくこと。とりわけ、より多くの人たちが主体的に会社経営
に携わることで、次世代経営層を育てるとともに、事業構造を大きく転換して、エンビプロが持続
的に成長していける体制を構築するためであります。
私は、この業界に入って約50年。33歳で社長になってから約40年がたちました。私が社長在任
中、文勝さんは私の片腕として会社を支えてきました。実務経験が大変豊富なため、リサイクルの
現場には誰よりも深く精通しております。従いまして、この困難かつ成長可能性に満ちた変革期に
おいて、アニマルスピリット豊かに稼ぐ力を取り戻すには誠に適任者であると思います。
なお、私は今後、会長として、より俯瞰した立場で経営に携わりながら、主には自分のライフミッ
ションとして位置付けております、焼却灰からの金銀滓回収事業に一事業家としてチャレンジし、
資源価格の変動等、外部環境に影響されにくく、利益率の高い事業として、エンビプロの大きな柱
に育てていく所存でございます。これからも新社長ともども、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、文勝さん、お願いいたします。
佐野文勝:ただ今ご紹介のとおり、このたび2025年9月に代表取締役社長に就任する予定の佐野
文勝でございます。前段で、佐野富和より発表いたしました、当社の変革期における重要な決定を
受け、あらためて身が引き締まる思いでございます。
まず、私の自己紹介をさせていただきます。私は、1983年、エコネコルの前身である佐野マルカ
商店に入社以来、43年間、本業界でリサイクル業に従事してまいりました。写真左上、おんぶさ
れているのは私ですが、このとき既に両親はこの業界で仕事をして、自宅前の庭先に鉄スクラップ
や古紙が山積みになっていました。趣味は海釣りで、休日には社員さんと釣りに出かけておりま
す。
続きまして、今後の経営方針となります。当社が最も大事にしている企業文化を引き継ぎ、志のあ
る従業員の皆さんとともに高い目標を掲げ、会社の経営を行ってまいります。そして「サーキュラ
ーエコノミーをリードする」という事業方針の根幹は今後も継承してまいります。その上で、激動
の時代を乗り越え、持続的な成長と企業価値向上を確実にするため、当社は、「変わる」をテーマ
に事業を遂行してまいります。
これまでは、創業家の強いリーダーシップのもと、トップダウンで「変える」ことを主導してまい
りました。今後は、社長である私が利益責任を負い、会社の舵取りを担う点は変わりませんが、世
の中の変化のスピードに対応するため、私も含め、各々が自ら「変わる」体制へと移行いたしま
す。
会社、経営層、管理職、そして個々の従業員が既存の延長線にとどまらない発想で計画、実行する
こと、すなわち「変わる」機会を創出することで、創発的能力を備えた自律した個人の規律ある集
団を目指してまいります。これにより、社員一人ひとりの主体性と創造性を最大限に引き出し、新
たな企業価値向上につなげてまいります。
次に、これまで事業で培ったノウハウと顧客基盤をさらに深掘りし、足元の収益力を確実なものと
します。不採算事業の構造改革を含む無駄を排除し、徹底した生産性向上を図ることで、安定した
収益基盤を確立いたします。これは、中期的な成長の土台となる不可欠な要素です。
また、重要戦略事業である焼却灰からの金銀滓回収事業、リチウムイオン電池リサイクル事業、ポ
リマーサーキュラーエコノミー事業の三つの事業へグループ全体のリソースを集中投下し、事業化
を加速させます。これらの革新的な事業は、社会課題解決と当社の新たな成長ドライバーという両
側面を持ち、グローバルな資源循環型社会の実現に向けた当社の責任を果たしてまいります。
続いて、中期経営計画取り下げと長期ビジョン経営への移行について説明いたします。当社は、こ
れまでローリング方式で中期経営計画を公表していきましたが、直近3年間で開示した中期経営計
画において、各計画の初年度から下方修正を余儀なくされました。今後、世の中の不確実性が一段
と増し、計画の前提条件の変更が頻繁に生じることが予想される中、中期経営計画を取り下げ、よ
り長期的なビジョンを掲げ、外部環境の影響を受けにくく、安定して利益をつくり出す経営への移
行を目指してまいります。
長期ビジョンは明確に持ちながら、状況に応じて素早く変化し、単年度ごとの事業計画を確実に実
行して、その地道な積み重ねにより、結果として長期的な成長を実現するという考え方でありま
す。これらの行動により、企業文化、戦略、実行力の全体を再設計して、新たなエンビプロのあり
ようを構築してまいります。
なお、新たな定量目標として、ROEを設定しております。中期的に10%、長期的に15%の水準を
目指してまいります。前段で社長からも発言がありましたが、当社はスタンダード市場への区分変
更を新たな出発点と捉え、三つの重要戦略事業を必ず成功させ、同時に既存事業とのシナジーを意
図してつくり出していく、広く社会課題解決に貢献しながら、長期的に企業価値を高めてまいりま
す。
そして、将来プライム市場に戻るという強い意志を持って日々精進してまいります。お客様、株
主、投資家、そして従業員等の全てのステークホルダーの皆様には、当社の新たな挑戦と事業構造
の変革にご理解と引き続きのご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
続いて、基本方針です。企業理念は私たちのDNAとして受け継がれ、当社が最も大切にしている
価値観であります。その下に「持続可能社会実現の一翼を担う」をミッションとして設定し、当社
の存在意義と位置付けております。
戦略コンセプトは、サーキュラーエコノミーをリードするとし、これらを実行する組織のイメージ
に、先ほど説明いたしましたとおり、創発的能力を備えた自律した個人の規律ある集団をイメージ
しております。
続きまして、ミッション実現のためのマテリアリティ特定ですが、今後、製鉄業界の電気炉設置に
よる高品質な鉄スクラップの需要増加、電化による非鉄金属・レアメタルの需要増加、廃プラスチ
ックの高度資源循環促進などがあります。これら金属廃棄物を集荷、選別、加工し、グリーンマテ
リアルを世の中に供給することが私たちの役割だと考えています。
次は、事業戦略について説明いたします。これはサーキュラーエコノミーをリードするための事業
戦略の概略図になります。事業会社には、気候変動やCDPなどのコンサルティングを行っている
ブライトイノベーションがありますが、最近、顧客のニーズはサーキュラーエコノミーに関するも
のも増えております。私たちの業界は集荷が重要なポイントであり、顧客からの要望により、その
仕組みづくりのお手伝いをブライトイノベーションが実施しております。
具体的な事例として、最近開示しましたが、荏原環境プラント社が進める廃プラスチックのケミカ
ルリサイクルの実証事業において、使用されている原料の調達管理をブライトイノベーションが担
っており、その原料の一部を事業会社のエコネコルが供給するなどの取り組みがございます。
また、地域を支えるサーキュラーエコノミーですが、処理困難物の集荷や24時間の受け入れなど
で地域住民の皆様にサービスを提供することを目指しております。自治体等には落じん灰や主灰の
選別提案を行い、埋立数量の減量化や利益の還元を提案しております。
サーキュラーエコノミーをリードするため、私たちはサーキュラーエコノミーの具体的事例を深
く、狭く、強く推進しております。図の濃い緑色がわれわれの役割を示しています。また、素材メ
ーカーに安定した品質で原料を供給するための必要な条件が四隅にございます。私どもの強みとし
まして、高度選別技術による選別、選別に特化した専門的なプラントエンジニアリング、また、先
ほど説明いたしましたサーキュラーエコノミーを成し得るための回収の仕組みづくり、再生素材の
品質管理や用途開発、製品化技術などがございます。これにより素材メーカーへの再生原料の安定
供給が可能となります。
画面右上にあるグリーンマテリアルが弊社のターゲット素材になります。ベースメタル、プレシャ
スメタル、レアメタル、レアアース、ポリマーがそのターゲットとなります。
サーキュラーエコノミーを実現させる当社の独自性といたしましてはご覧のとおりでございます。
この強みを活かし、先ほど来申し上げている三つの重要戦略事業の推進と、既存事業の深化、深掘
りと足元の収益力回復を進めてまいります。
ここからは、弊社の三つの重要戦略事業について説明いたします。一つ目は、焼却灰からの金銀滓
回収事業であります。焼却灰は地上資源が濃縮された日々再生産される金鉱脈と位置付けて、未利
用資源を社会に戻すことでサーキュラーエコノミーをリードいたします。
この事業の推進体制といたしまして、グループ横断のプロジェクトチームが組成され、佐野富和が
プロジェクトチームのオーナーとなり、事業会社のエコネコル内に専門組織を設置し、活動を開始
しております。
落じん灰は、焼却炉内である程度金属が濃縮された灰を購入し、工場で選別しており、着実に取引
先を増加させております。
主灰は、一般廃棄物を取り扱うための法律の壁があり、なかなか手を付けることができません。た
だし、このマーケットの弊社分析では、市場規模が1,000億円を超えると見ております。事業化へ
のハードルは高いですが、今後も挑戦してまいります。
二つ目は、リチウムイオン電池リサイクル事業です。事業環境の認識としましては、自動車用電池
工場の新設中止、延期等、国内電池工場の製造工程由来の廃材の市場については足元では鈍化する
予測をしております。ただし指定再資源化製品の拡大により、民生品バッテリーの回収量は増加を
想定しております。
グラフにも見られるように、リチウムイオン電池市場は揺るぎない成長を続けると認識しておりま
す。今後のアクションとしまして、外部環境を鑑みながらブラックマス生産拠点を増やす。現在3
拠点でございます。4拠点目も検討をしているところでございます。電池のお取引先、取扱量、取
引形態を増やす。指定再資源化製品の拡大に伴い、グループ連携により再資源化ニーズを取り込
む。現在、東京都のリチウムイオン電池回収の実証事業を受託して、回収実証を開始しておりま
す。この目標達成には、他社にないリサイクル技術の付加が不可欠となります。
最後は、ポリマーサーキュラーエコノミー事業となります。技術の進化に合わせ、三つのアプロー
チでポリマー資源循環を促進し、サーキュラーエコノミーをリードしてまいります。
一つ目は、廃プラスチックのサーマルリサイクルとなります。事業会社のエコネコルでは、地元富
士市の製紙メーカー等に石炭代替の燃料としてRPFを供給しております。8月18日より、エコネ
コルの富士工場に新たな生産設備が稼働しました。2025年3月に稼働したタイヤチップ燃料製造
設備と併せ、低炭素燃料の製造能力を増強しております。
次に、マテリアルリサイクルとなります。自動車の破砕残渣、ASRに含まれるプラスチック、ゴ
ムの再生素材化・製品化を進めてまいります。また、製品製造プロセスで発生する廃ゴムのクロー
ズドループ構築を、グループ内外の企業と連携し進めてまいります。
最後は、ケミカルリサイクルとなります。荏原環境プラント社と共に共同実証を開始しておりま
す。将来のケミカルリサイクルの社会実装に向けた取り組みの一環として、実証事業に対し、原料
の廃プラスチックを供給および調達管理をBPOとして担っております。その取り組みを通じて、
ケミカルリサイクルプラントを活用した事業化検討を開始いたします。
続いて、2026年6月期の連結業績予想となります。足元の事業環境には不透明感があるものの、
各種金属市況は現状の水準で推移すると想定し、売上高は前期比12.4%減の430億円、営業利益
は前期比33.7%増の13億円、経常利益は前期比39.8%増の17億円、当期純利益は前期比10.6%
増の13億円の減収増益となる見込みです。
売上高は、電炉メーカーと連携した集荷販売の仕組み強化による取引形態の変更により減収となる
見込みであります。各段階利益においては、各セグメントにおいて待遇改善を進行し、人件費を始
めとした固定費は増加するものの、既存事業の構造改革、深化・深掘を進行して、限界利益を拡大
させること、および持分法投資会社の利益拡幅により増益となる見通しです。
続いて、セグメント別です。資源循環事業は、既存事業の構造改革、深化・深堀、持分法投資会社
利益拡幅を見込み増益。グローバルトレーディング事業は、電気炉メーカーとの連携した集荷販売
の仕組み強化による取引形態の変更により減収とはなるものの、利益安定化を図ること。物流代行
サービスが堅調に推移すると想定し増益。リチウムイオン電池リサイクル事業は、電池製造会社と
の取引が低調に推移すると想定し、減益となる見通しです。
続いて、連結経常利益の前期実績との差異分析になります。既存事業の構造改革、深化・深掘によ
り、売買差益を拡大する等により限界利益を拡大することで、人件費等の固定費増加をこなし、増
益となる見通しです。
続いて、ROEと株主資本コストについてとなります。当社のROEは、市況に依存し、大きなボラ
ティリティが生じており、直近数年では当社の想定する株主資本コスト10%をROEが下回ってい
る状況にあります。ROE向上のために重要戦略事業の推進、既存事業の構造改革、深化・深掘り
により、持続的な利益率向上と利益額の伸長を目指してまいります。純利益率の改善と財務レバレ
ッジの適切な運営により、中期的にROE10%、長期的にROE15%の水準を目指します。
最後に、株主還元についてご説明いたします。株主優待廃止と配当方針を変更いたします。より公
平な株主還元のため、2026年6月末を基準日とする株主優待を最後に、株主優待制度を廃止し、
配当等による利益還元に集約いたします。新たな配当方針として、株主資本配当率、DOE2.5%を
下限とする、へ変更いたします。
配当性向からDOEへの方針変更により、相場変動、人件費上昇、積極的な設備投資を行う中で、
短期的に利益が変動する局面においても、安定かつ持続的な株主還元を行うためであります。
以上をもちまして、私からの決算説明を終了いたします。ご清聴ありがとうございました。
佐野富和:ありがとうございました。
質疑応答
斉藤 [M]:ありがとうございました。続きまして、質疑応答に移らせていただきます。Q&A機能
でご質問をいくつか頂戴しておりますので、ご質問を代読させていただきます。まず一つ目です。
質問者 [Q]:中期計画の公表を取りやめる説明の中の外部環境の変化に影響を受けにくく、安定し
て収益をつくり出す事業領域、これは具体的にどのような領域でしょうか。
佐野富和 [A]:これは私から。まず、この事業領域ですけれども、焼却灰からの金銀滓回収事業を
想定しております。私どもは、10年ぐらい前から、いわゆる焼却灰の中の落じん灰の事業をやっ
てきました。現在、六十数社ですかね、今後計画されている焼却炉も含めて、自治体との関係性が
どんどん増えております。落じん灰以外に焼却灰は非常にポテンシャルのある資源だということが
だんだん分かってきました。今までわれわれが知らなかったようなことも今発見しつつあります。
併せて、今後注力していくのが主灰からの金銀滓回収です。ここはもうヨーロッパでは2000年頃
から既にやられておりまして。まさにもうレッドオーシャン化しているんですが、日本においては
まだブルーオーシャンであります。今まで同業者が少ないという、いずれ参入があると思います
が、この間に各自治体との契約を詰めて、そしてこの金銀滓からの回収事業の本丸である主灰の事
業に、自治体相手ですから複数年立ち上げまでにはかかると思いますけれども。
ここを成し上げることによって、もともと仕入れがある意味ないものですから、そんな意味で、な
おかつ利益率が高いので、多少相場変動しても確実に、それから一度契約すると持続的に契約が続
くと。もちろん手続きをしながらですけれども。そんな事業ですので、まさに相場変動に左右され
にくい安定した事業ということで、会社の経営を牽引するような事業だと思っております。以上、
お答えいたしました。
斉藤 [M]:ご質問とご回答ありがとうございました。続きましてQ&Aで頂戴しておりますご質問
を代読させていただきたいと思います。
質問者 [Q]:6月にスタンダード市場での市場区分変更申請をされたと開示されておりますが、進
捗について教えていただきたいと思います。また、将来プライム市場に復帰するとのお話がありま
したが、将来とはいつ頃を指していますでしょうか。
佐野文勝 [A]:それでは、それは私から回答させていただきます。6月27日に、東証に市場変更
の申請をいたし、全ての書類を提出し、現在審査中でございます。また、プライム市場への再上場
におきましては、企業価値をしっかりと高めて、先ほど申し上げましたようなこの三つの重要戦略
事業等をしっかりと成し得て、企業価値をしっかり高めた上で、また新たに挑戦をしたいと思いま
す。従いまして、時期は具体的には申し上げられませんが、一生懸命頑張ってやっていきたいなと
思います。以上です。
斉藤 [M]:ご質問とご回答ありがとうございました。続いて、またQ&Aから代読させていただき
ます。
質問者 [Q]:ポリマーサーキュラーエコノミー事業の収益性を確保するための施策につきご教授く
ださい。特にマテリアルリサイクルについて具体的にご教授ください。
佐野文勝 [A]:では私から。ポリマーサーキュラーエコノミー事業の収益性の確保ということです
けれども、特にその中でも、われわれはポリマーサーキュラーエコノミー事業という中には、サー
マルリサイクル、それからマテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルという形でお示ししており
ます。要はサーマルリサイクルが最後に来るものではありますが、マテリアルに向かないものを最
終的にサーマルリサイクルしております。
マテリアルリサイクルにおいては、今後、車のASR、現在ヨーロッパの規制もあって、自動車メ
ーカーが一生懸命このマテリアルリサイクルについて研究をしておりますけれども、なかなか現段
階においては、マテリアルリサイクルにおいての収益性というのは、大きな収益を見込めるマーケ
ットではない。
ただし、最終的にこのケミカルリサイクルにおいては究極のリサイクルと言ってもいいと私たちは
考えておりますけれども、ここに戻すことでまた再度プラスチックに戻せるような油化をした上
で、ここでリサイクルをしていきたいと思います。ちょっとご質問にお答えはなかなか、具体的な
規模感みたいなのは頭の中にも入っておりませんが、ただ、ここをしっかりと研究していく、少し
長期的な目線で考えております。以上、お答えしました。
佐野富和 [A]:私から少し付け加えていいですか。プラスチックのマテリアルリサイクルは非常に
事業性を確保するのは難しいと私は思っています。ただし、そこはチャレンジしなければいけない
ということと、日東化工がもともとコンパウンド会社ですので、まずは分離したプラスチックにい
ろんなものを混ぜて、コンパウンドして商品化するということがわれわれの強みになるかなと思っ
ています。
とりわけプラスチックは大勢の参加者がいるんですが、私はゴムのリサイクルというのは非常に独
自性があると思っています。現在、複数の会社と脱硫をしてゴムを、PIR、工程内から発生するゴ
ムが今のところ中心ですが、それを脱硫して、またマテリアルリサイクルをするということで、私
どもの会社においてはむしろプラスチックはそんな強みは私はないと思っていますが、ゴムについ
てはかなり独自性のある展開ができると思っています。
具体的に教示というと難しいんですが、ゴムに関しては脱硫技術を追求することでリサイクルの事
業を確立できるんじゃないかなと思っております。すみません、2人合わせても十分な回答になっ
ていないということを、お許しいただきたいと思います。
斉藤 [M]:ご質問とご回答ありがとうございました。それでは、続いてのご質問を代読させていた
だきます。
質問者 [Q]:リチウムイオン電池リサイクル事業についてお伺いいたします。BYDをはじめ、中
国勢を中心にコストの安いリン酸鉄リチウムイオン電池、LFPへの転換が進んでおり、国内完成車
メーカーも追随していくものと思われます。
この転換が進むと、ニッケルやコバルトを使用しないことになりますが、御社のリサイクル事業に
影響を与えていく可能性はありますでしょうか。中長期的な視野も含めてお考えをご教授くださ
い。
佐野富和 [A]:今度変わるんですが、私は今までリチウムイオン電池リサイクルの管掌役員を兼ね
ておりましたので、私からご回答申し上げます。もともとニッケル、コバルト等、レアメタルを回
収することによってリサイクルの意義というのは非常に高いものがあると思っています。ただし、
このLFPに変わるとそういうものがなくなるわけですから、非常に付加価値の低いリサイクル市
場の中でどう戦うかということになりますが。
われわれにとっては、もともと産業廃棄物を扱っておりますので、今は処理費をいただいても、例
えば炉で溶かすとか、そういう単純なリサイクルですけれども、処理費をいただいた上で一定のコ
ストをかけてリチウムを回収する、あるいはカッパーがそこに使われていますので、そういうもの
をきちっと回収してリサイクルしていくという。この事業モデルは、むしろ製錬所の大きなところ
とはなかなかなじまないと思うんですが、われわれみたいな業態にはむしろ技術力のある産業廃棄
物処理業者の事業領域ではないかなと思っていますので。
私は、中長期的にこの事業はさらに積極的に構築していくべき事業だと。むしろ、LFPになること
によって私たちの競争力を上げられるような体制をつくっていくということが一つの戦略になるん
じゃないかなと思っています。
昨年、中国に行きましたけれども、LFPからリチウムを回収する事業をやっているところを見まし
た。なかなか採算性については一定の規模がないと難しいなということも感じましたけれども、や
るべき技術が既にもう実は中国では確立しておりまして、それらの技術も導入することによって、
小規模でもやれるんじゃないかなと。
ニッケル、コバルト系になりますと、かなり大規模な、数百億円単位の投資になると思いますが、
LFPのいわゆる化け学的なアプローチは、それほど大きな投資が要らないんじゃないかなと思って
いますし。前処理でいかに選別するかという、この物理選別の重要性が高い事業領域だと思います
ので。
その意味では、私たちの得意分野でむしろやれるということで、LFPについても今はそんなにたく
さんやってません。また、もう既に、ただ電池で結構LFPは来ているんですね。そんな中で知見
を蓄えながら、いずれこのLFPが増えていく中でもしっかり対応できるような事業モデルをつく
っていきたいと思っております。以上でございます。
斉藤 [M]:ご質問とご回答ありがとうございました。それでは、次のご質問を代読させていただき
ます。
質問者 [Q]:2024年6月17日にレアアース磁石のリサイクル技術を持つHyProMag社とのMOU
締結をプレスリリースされておりますけれど、その後の進捗はいかがでしょうか。
佐野文勝 [A]:それでは、私からお答えさせていただきます。この8月の初めに、HyProMag社の
ご担当の方が2名お見えになりました。現状の報告を伺いましたところ、1日当たり50キロの実
証の実験をずっと続けてきた結果、現在は年間100tのプラントを設置して、来年辺りから本格的
にそのプラントが稼働するという報告を受けております。
あと来年、米国それからドイツに新たなプラントも設置するということで、今後、状況を見ながら
ですが、日本での需要があればしっかりとこの技術をわれわれも使わせていただきながら、設置を
検討していくと思っております。以上です。
斉藤 [M]:ご質問とご回答ありがとうございました。その他ご質問がないようですので、これにて
質疑応答は終了させていただきます。
それでは、以上をもちまして、株式会社エンビプロ・ホールディングス、2025年6月期決算説明
会を終了させていただきます。本日はお忙しい中ご参加いただき、誠にありがとうございました。
佐野文勝 [M]:ありがとうございました。
[了]
______________
脚注
1. 会話は[Q]は質問、[A]は回答、[M]はそのどちらでもない場合を示す
「2025年6月期 決算説明資料」は2025年8月20日に開示しており、本件は決算説明会における
書き起こしを作成したので追記して開示するものです。
次権利日 | 優待利回り | 貸借区分 | 前日終値 |
6月26日 (304日) | 1.14% (GL-1.9) | 制度信用銘柄 | 492円 |
優待関係適時開示情報 |
2025年6月期 決算説明会(書き起こし)(25/08/27) |
優待基礎データ
利回り
利回り区分 | 利回り(400株) |
---|---|
配当利回り | 0% |
優待利回り | 0% |
総合利回り | 0% |
※優待利回りについて、比較のために公称価格に対して独自に係数をかけています。例えば、カタログギフトは0.6倍、食品は0.5倍、自社商品は0.4倍などとなっておりますので優待利回りについてはご参考までにご覧くださいませ
株数毎の必要金額
株数 | 概算必要金額 |
---|---|
400株 | 約20万円 |
一般信用関係データ
クロスコスト計算
前回権利日の一般信用在庫(過去30日間)
カブドットコム証券における過去1週間の抽選倍率
日付 | 抽選対象在庫 | 申込株数 | 抽選倍率 |
---|---|---|---|
25年8月26日 | 2100株 | 0株 | 0倍 |
25年8月25日 | 2100株 | 0株 | 0倍 |
25年8月22日 | 2100株 | 0株 | 0倍 |
25年8月21日 | 2100株 | 0株 | 0倍 |
当該ページの情報については、情報の正確性のチェックはしておりませんため、誤った情報が表示されている可能性があります。このことについてご留意頂き、投資判断においてはご自身で再度情報の正確性をご確認いただきますようお願いいたします。